この工程は何をするのか
全工程にまたがる。IT パスポート試験シラバス Ver.6.5 の「28. サービスマネジメント」の定義。
・価値を提供するため,サービスの計画立案,設計,移行,提供及び改善のための組織の活動及び資源を,指揮し,管理する,一連の能力及びプロセスとしてサービスマネジメントがあること
保守との違いは、対象がシステムではなくサービスであること。 保守は「システムを直す」、サービスマネジメントは「利用者に対する提供の品質を保つ」。動いていても問合せに答えられなければサービスとしては成立していない、という見方になる。
覚えておく3つの言葉
シラバスが用語例に挙げているもののうち、実務で必ず出るもの。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| ITIL | サービスマネジメントのフレームワーク |
| SLA(サービスレベル合意書) | サービスと合意されたパフォーマンスを特定した、組織と顧客との間の合意文書 |
| サービスデスク | 利用者からの問合せに対する単一の窓口機能(SPOC) |
SLA は「目標」ではなく合意文書である点が重要になる。守れなかったときにどうするかまで含めて決めておくもので、努力目標とは違う。
管理の対象
シラバス「29. サービスマネジメントシステム」の用語例には、管理すべきものが列挙されている。
サービスレベル管理(SLM),需要管理,サービス要求管理,インシデント管理,問題管理,構成管理,変更管理,リリース及び展開管理,サービス可用性管理,サービス継続管理,サービスの報告,継続的改善,PDCA,サービスカタログ,エスカレーション,サービスの移行,サービス受入れ基準
インシデント管理と問題管理が別々に挙がっているのがポイント。インシデント管理は「今起きている支障を早く収める」、問題管理は「なぜ起きたのかを突き止めて再発を防ぐ」で、目的が違う。
具体的な成果物
| 成果物 | 中身 |
|---|---|
| サービスレベル合意書(SLA) | 組織と顧客の間で合意したサービス水準 |
| インシデント・問題・変更の管理記録 | 起きたこと、原因、加えた変更 |
| サービスデスクの対応記録 | 問合せの記録と分類、優先度付け、対応結果 |
つまずきやすいところ
インシデント対応で終わって、問題管理に進まない。 復旧すれば目の前の支障は消えるので、原因究明が後回しになる。同じ障害が繰り返し起きる組織はここで止まっている。
SLA を作らずに運用を始める。 何時間以内に復旧するのかを決めていないと、遅いかどうかを議論できない。
AI に任せられる範囲
この図書館には、まだ根拠となるページがない。
ただしシラバス自身が AI の活用を明記している点は記録しておく価値がある。「29. サービスマネジメントシステム」のサービスデスクの項に、次が挙がっている。
用語例 SPOC,FAQ,チャットボット,AIOps 活用例 AIを活用したサービスデスクの運用方法
つまり IT パスポートの出題範囲の側では、AI を使ったサービスデスク運用が既に前提になっている。にもかかわらずこの図書館が low としているのは、AI にできないからではなく、この図書館がまだその領域を扱っていないからである。
裏付けの無い工程で「AI に任せられる」とは書かない規則にしているので(docs/schema.md)、ここを埋めるには、サービスデスクや運用自動化を扱った出典を集めて facts/ か cases/ に足す必要がある。この地図の中で、最も手薄な場所がここ。
まだ人がやること
サービス水準を約束すること。 SLA は顧客との合意文書なので、結ぶ主体は組織になる。
優先度を決めること。 同時に複数のインシデントが起きたとき、どれを先に収めるかは業務影響の判断になる。
エスカレーションの線を引くこと。 どこから上に上げるかの取り決めは、組織の責任分担の問題になる。