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全体像 — 日本企業は生成AIを何に使っているか

職種・業務別 / overview

1 か月前 · 2026-08-16実名事例 1 件

職種別の巻を読む前に、全体がどうなっているかを押さえる。出典は帝国データバンク「生成AI に関する企業の動向調査(2026年3月)」1本のみで、ベンダーの記事は使わない。

調査概要は次のとおり。規模が大きく、AI を売る立場ではない調査機関が実施している点で、この分野では例外的に信頼できる。

  • 調査期間: 2026年3月17日〜3月31日
  • 調査対象: 全国 23,349 社 / 有効回答 10,312 社(回答率 44.2%)

この図書館にとって都合の悪い数字

主な活用業務の内訳がこうなっている。

業務割合
文章の作成・要約・校正45.1%
情報収集21.8%
企画立案時のアイデア出し11.0%
データの集計・分析7.4%
コード生成などのプログラミング支援5.9%

この図書館が扱う Claude Code / Codex / Gemini CLI は、いちばん下の 5.9% に向けた道具である。日本企業の実際の使い方の主流は、**その 7 倍以上ある「文章の作成・要約・校正」**の方にある。

だから職種別の巻を読むときは、次の区別を持っておくとよい。

  • 文章仕事が中心の職種(事務、士業、マーケティング)— 主流の使い方。ただしこの図書館の facts はほとんど当てはまらない
  • ものを作る職種(エンジニア、業務改善ツールの内製)— 少数派だが、この図書館の facts がそのまま効く

使っているのは 3 社に 1 社

生成AI を業務で活用している企業は 34.5%。活用している企業のうち 86.7% が効果が出ていると答えている(「大いに」25.2% +「やや」61.5%)。

使えば効果は出る。使っていない企業が 3 分の 2 いる、という形になっている。

業種で大きく違う

業種活用率
サービス47.8%
金融38.6%
不動産34.9%
運輸・倉庫27.5%
建設26.4%

規模でも大きく違う

従業員数活用率
1,000人超63.6%
301〜1,000人51.9%
5人以下29.6%

規模別に見ると 大企業 46.5% / 中小企業 32.4% / 小規模企業 28.0%。

「うちの業界はまだ」は、たいてい事実ではなく規模の問題である可能性が高い。1,000人超と5人以下では倍以上の開きがある。

起きているトラブル

複数回答。「悪影響やトラブルはない」が 67.7% で最多だが、残りの内訳が示唆的。

項目割合
悪影響やトラブルはない67.7%
能力や成果の格差が拡大した18.8%
社員が業務をAI任せにして意欲が低下4.0%
若手が育たなくなった2.2%
出力結果の誤りでトラブルが発生1.3%
機密情報や個人情報が流出0.7%

最も多い実害は情報漏洩でも誤りでもなく「格差の拡大」(18.8%)で、2 番目に多い項目の 4 倍以上ある。導入時に警戒されがちな流出は 0.7%、誤りによるトラブルは 1.3% にとどまる。

つまり実務上の課題は「AI が間違える」ことより、**「使える人と使えない人の差が開く」**ことの方にある。

懸念されていること

3つまでの複数回答。

項目割合
情報の正確性50.4%
専門人材・ノウハウ不足41.3%
活用すべき業務の範囲40.0%
情報漏洩のリスク33.5%
トラブル時の責任所在などのルール整備25.5%

「活用すべき業務の範囲」が 40.0% ある。何に使えばよいか分からない、という状態が 5 社に 2 社。この図書館の職種別の巻は、そこに直接答えることを狙っている。

情報漏洩の懸念は 33.5% ある一方、実際に流出が起きたのは 0.7%。懸念の大きさと発生率が 50 倍近く離れている。恐れる必要が無いという意味ではないが、恐れの大きさに対して実害の報告は少ない。

この巻の限界

  • 業種の区分が粗い。 調査は「サービス」「金融」などの大分類で、会計事務所や動画制作といった単位では出ていない。個別の職種は各巻で別途調べている
  • 職種ではなく企業単位の調査。 「誰が使っているか」は分かるが「その会社の中で誰が使っているか」は分からない
  • 1 時点の調査であり、推移は追っていない

この仕事の手順

この巻が根拠にしているページ